あの頃は若かった中村です。こんにちは。イライラ経験シリーズその4(完結編)として、今回は脳の機能「視空間」に関係した私の失敗例を紹介します。わが子に勉強を教える親御さんや学校・塾の先生が同じような失敗をすることが無くなれば嬉しいですね。

その失敗は、数学で中3生に三平方の定理を教えていた時に起こりました。扱っていた問題は、直方体の表面を通る2点間の最短距離を求めるものです。

生徒「先生この問題わかりません。」

中村「はい、じゃ解き方教えるね。最短距離を求める問題では平面に直して一直線を引く、その長さを求めるといいよ。(手振りで)この長方形の面をこの面と同じ平面にすると、同じ平面上で一直線引けるよね。」

生徒「う~ん」

中村「この長方形の部分をパカッと開けるんだよ。それで線を引くと直角三角形の斜辺になるから三平方の定理で求められるよね。わかった?」

生徒「わかりません。」

 

中村「だからさー、この面を回転させると同一平面ができるんだよ…(イライラ)」

生徒のAさん、ごめんなさい。図形の理解が苦手な生徒ではありましたが、そもそも説明が下手です。ましてやイライラして教えるなどいけませんね。

ではここで確認しましょう。今回のテーマは脳の機能「視空間」です。

視空間とは

ウィスク5にある指標の1つで、目で見た情報を処理して空間内にある物体の位置関係や形を認識する機能です。この機能が強いと展開図を組み合わせるとどのような立体になるのか、立体を別の方向から見たらどのように見えるのかをイメージしやすくなります。逆に弱いと立体を面で切った時の切り口の形をイメージしたり地図を読んで方角を確認したりすることが苦手になります。

今ではわかります。視空間の機能が弱い生徒に手振りで説明したくらいでは具体的なイメージを持ちにくいことを。そのような生徒にイライラしながらちょっと説明の言葉を変えただけで理解を強いることは無理なことです。

今なら図を書いて説明します。

中村「立体のままだとわかりにくいから、上の面をこう開くと…」

中村「こうなるよね。これで赤い点2つが同じ面の長方形の対角線上にあるから…」

中村「赤い点と赤い点を直線で結んでその長さを出そう。その線が直角三角形の斜辺になっているから…」

こんな具合です。具体的な立体図を見せながら手順を説明すれば理解の手助けになります。視覚情報と語句による説明情報を合わせること視空間機能を補うことにもなるのです。

これでわからないようなら長方形の紙を使って直方体を作ります。上のふたの部分を実際にパカッと開けて同一平面上に点と点が来るようにして説明すればよいのです。そして解き方がわかったら(わからなくても理解に努めていたら)「頑張ったね。ナイス!」と誉めます。

 

いかがでしたか?こんな失敗談その4(完結)でした。今回の失敗例でこのシリーズは完結です。ではまた!

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