「久しぶりにお菓子を作ったな。小学校の頃、図書館にあった『ルルとララのおかしやさん』っていう本が好きで、全部読んでて、家でも作ったりしていたの」と中学2年生のKちゃんの朗らかな笑顔。
3月からコメットに通っているKちゃんは中学2年生、小学校の高学年から不登校です。
コメットではこの2ヶ月週に一回、休まず自分で決めた時間に前向きに通っています。
そんなKちゃんと、この日初めて学習以外の活動に挑戦しました。いつもよりちょっと早い午前中の時間から活動開始!前回相談して決めた「映える!ホットケーキ作り」に挑戦です。お昼の時間にかかるので「新玉ねぎのスープ」も一緒に作りました。
玉ねぎを手際よく切るKちゃん、頼もしいです!
普通のホットケーキではない!映えを意識して、スタッフのまりな先生提案の「食紅で色付け!」をしてみました。青、赤、黄色の食紅を恐る恐る生地に振りかけます。赤と青を混ぜたら・・・、だんだん大胆な混ぜ具合になっていきました。
いろいろな形に仕上がった生地を眺めて、「これ、プーさんに見えるね、こっちはカービーかな、これはスヌーピー?」色々想像力を掻き立てられつつ、とっても器用に生地に絵をつけていくKちゃん。そのセンスと器用さにはスタッフ一同ビックリ!!
パンケーキが仕上がった頃、美味しい新玉ねぎのスープも出来上がりました。
「よく描けてるね、ばえるね〜!」と一通り撮影会をして、「いただきます!」味も美味でした!可愛いプーさんも、メタモンも美味しくいただきました。
片付けをしてから学習に取り組んだKちゃん。久しぶりにきっと共同作業で調理をしたことでしょう。疲れてないかなと心配しましたが、予定の時間を伸ばして、2科目、国語と数学をバッチリ取り組んでいました。手を動かすと、心も動きます。心が動くとエネルギーが湧くのだなあと清々しい表情で学習に取り組んでいるKちゃんを見ながら思いました。
学習で取り戻していく自信も中学という時期にはとても大切です。
それと同時に、この感性の豊かで伸びやかな時期に、様々な体験をすることもとっても大切だと思います。不登校となると、他者と関わりながら何かを作ったり、表現したりという活動、経験の機会がグッと減ります。よほど探してそのような場が見つかればそれは幸運と思います。
コメットでは、学習も体験もどちらも、今だからこそ大切にできることとして大事に考えています。
体験の中で初めて見るその子の得意やセンス!感性!そしていつもとは違った笑顔や会話、こういった時間の重なりの中で、その子が本来持っている可能性や力というのは広がっていくと信じています。
一人でコツコツと伸ばせることもあるかもしれません。けれども、小学校、中学校、自分でも気がつかないような素敵な部分に、周りの大人や仲間がスポットライトを当ててあげられる機会も必要だと思います。
ホットケーキを作る、そんなさり気ない活動の中にも、今日はたくさんのKちゃんの素敵な面を見せてもらい、その笑顔と、「今度は何を作ろうか?」と相談できるエネルギーに実は胸がいっぱいになっていました。
家からどこかへ通う、このことだけでも勇気やパワーのいることです。その一歩が踏み出せたからこそ、次の出会いの中で、次の目標を見つけていく手伝いを私たちもさせてもらえます。子どもの意志とそれを支える保護者の思い、どちらも受け止めながら伴走してきたいと思います。
南部